北海道新聞メディカルガイドの連載
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〜お医者さんに聞いた、病気のあれこれ〜
今回は「前立腺がん」についてお話を伺いました。
ゲスト/芸術の森泌尿器科 斉藤誠一 医師
 最近、前立腺がんが増加しているそうですね。
 

 前立腺がんは、欧米に多い病気とされてきましたが、最近では食生活の欧米化や高齢化社会によって、わが国でも急激に増加しています。アメリカでは男性が罹患(りかん)するがんとして一番多く、死亡原因のがんとして二番目に多いのです。アメリカではこの病気を撲滅するために、国をあげて対策に取り組んできました。
 最近の統計では、この10年間で50歳から74歳までの男性の前立腺がんによる死者が3分の1減少し、75歳から84歳の間では4分の1減少したと報告されました。
 アメリカで前立腺がんの死亡率が大きく減少した理由として、次の二点があげられます。
 一つはPSAという血液検査で早期がんを発見し、早期治療を行ったことです。より安全な手術手技も確立され、合併症も減少しました。今まで懸念されてきた尿失禁も減少し、性機能の回復も高率で望めます。
 二つ目は内分泌療法の普及です。以前は睾丸(こうがん)を除去して男性ホルモンを抑えたり、副作用の多い女性ホルモンの投与を行ってきましたが、ここ10年程で副作用の少ない男性ホルモンを抑える薬が出現し、広く使用されています。

 
 前立腺がんの予防方法はありますか。
 
 アメリカでは男性ホルモンを抑える薬を服用し、前立腺がんを予防しようという大規模な試みが終了しました。その結果、前立腺がんの発生自体は減少しましたが、かえって悪性度の高いがんになる確率が高くなり、薬による予防には無理があるという結論に達しました。
 もっと簡単な予防法として、食生活の改善が長年議論されています。現在、統計的・経験的に効果があるといわれているのは、脂肪を控え、大豆やトマト、ブロッコリーなどの緑黄色野菜、緑茶を多く摂取することです。
 しかし現実問題として、現在の日本の食生活を考えると、今後も前立腺がんが増加することは明らかです。わが国でも、早期発見、早期治療を確立させることが急務です。
 50歳を過ぎたら、1年に1回はPSA検査を受け、特に身内に前立腺がんになった人がいる場合は、45歳から検査を受けましょう。少しでもがんの疑いがあったら、積極的に組織検査を受け、早期発見に努めることが必要です。