北海道新聞メディカルガイドの連載
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〜お医者さんに聞いた、病気のあれこれ〜
今回は「五月病と呼ばれる状態」についてのお話を伺いました。
ゲスト/岡本病院 村木 彰 先生
 一般的に五月病と呼ばれる病気は、どのような状態を指しますか。
 

 実際には、五月病という病気は存在しません。学生、特に大学生がせっかく入学したばかりの5月であるにも関わらず、学習意欲を失ったり、登校しなくなってしまう現象をそう称したのが始まりでしょう。新しい環境への不適応と考えられる登校拒否、出社拒否を含む精神的な不安定状態を慣用的に示す言葉として使われているようです。そこには単純に、本人の問題として、大学生活に失望した、やる気を失ったなどという病気とは言い難い状態も含まれます。このように、五月病という言葉自体があいまいなものですから、五月病だからこうだと言い切れることはありません。ただ、4月、5月は、環境の変化に伴う肉体的・精神的負担の増加などから、いわゆる燃え尽き症候群などを呈する人が多くなるのは事実です。また、季節の変わり目に当たりますから、体のリズムに変調をきたしやすいということもあります。五月病と呼ばれるような社会生活から身を引く状態が数ヶ月間持続し、その間趣味や本来好きな事柄に熱中する意欲もなくなるようであれば、その背景に鬱(うつ)病が隠れている可能性も考えられます。

 鬱病についてお聞きしたいのです。
 
 鬱病とは、脳内の生化学的な問題。簡単に言えば、脳内の元気の素(もと)が枯れてしまっている状態です。柔軟性があるか否かなどの個人的な資質と周りの環境も大きく関与してきます。一般的に、食欲不振、睡眠障害などが症状として現れ、患者さんの多くは内科的な問題が原因だと考えます。ところが、内科を受診してみても異常所見が見当たらないため、精神科にいらっしゃるわけです。鬱病は、抑鬱状態を呈する様々な病態の中の一つですが、その中でも特に治療の効果がはっきりと出るケースが多く、治療を開始して4週間〜2、3カ月での完全な治癒も期待できます。広義の鬱病は年々患者さんが増えています。アメリカでは国民の約20%が鬱病であるという報告もされています。一般に抑鬱状態とは、気持ちが晴れない、意欲がでない、頭が回転していない状態を指しますが、その種類は幅広く、治療法もゆっくりと休養をとり、頭を整理すれば解決するものから、鬱病のように専門的な治療を要するものまでそれぞれ異なります。入院よりも外来でケアしているケースの方が圧倒的に多いです。「精神科」と聞くと敷居が高く感じられるのか、かかりにくいと思われる方が多いようですが、治療の方向性などは専門医でなければ判断できませんので、もっと気軽に相談に立ち寄ってもらいたいと思います。