北海道新聞メディカルガイドの連載
「いきいきゼミナール健康と医療」取材記事を中心に、
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〜お医者さんに聞いた、病気のあれこれ〜
今回は「アトピー性皮膚炎」についてのお話を伺いました。
ゲスト/森皮フ科医院 院長 森尚隆 先生
 アトピー性皮膚炎の原因は何なのでしょうか。
 

 皮脂腺の未発達による脂肪膜の欠乏と角質に含まれるセラミドの低下による皮膚の乾燥が起こり、皮膚のバリア機能が低下して、いろいろな刺激、例えば汗、石鹸(せっけん)、衣類などの接触源、細菌、ウイルス、ダニ、カビなどが侵入して皮膚炎を起こすこと、そして皮膚に含まれる水分も傷んだ皮膚を通して簡単に逃げていってしまい、ますます皮膚の乾燥をもたらすことが第一の原因です。次にいろいろな刺激に対して過敏に反応する体質があり、かゆみに対しても弱いことが原因です。掻(か)くことによる湿疹(しっしん)化と皮疹の悪化が繰り返され、悪循環となってアトピー性皮膚炎が完成していきます。体調が良好で病気を押さえ込む力が十分なときは、皮疹の悪化は起こりませんが、精神的、肉体的ストレスが強いと皮疹が増悪してしまいます。アトピー性皮膚炎の有病率を20年前と比較しますと、乳幼期ではともに約30%と変わりありませんが、9〜12才代では約2倍と増加しています。増加の原因は3つ考えられます。ひとつは生活環境の変化で、密閉性を高めた住宅の構造によってダニ、ハウスダスト、カビ、細菌などが増加してアレルギーが成立しやすくなっています。次に食生活の変化です。スナック菓子や糖分のとりすぎ、食品添加物などの未知の作用などが問題とされています。そして現代生活におけるさまざまなストレスの増加です。勉強、習い物、対人関係、家族関係、過剰な食事制限などがあげられます。

 アトピー性皮膚炎の治療についてお聞きしたいのですが。
 
 治療で最も大切なのは、「掻き壊し」による皮膚炎の悪循環を断ち切ることです。そのために、まずは皮膚炎を抑制します。主にステロイド系外用薬を用いますが、これは使い方さえきちんとしていれば大変有用な薬で、症状や部位に適した使用が可能です。次にかゆみを取ってあげることで、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤が有効になります。同時に、各種の検査を受け抗原を探したり、日常生活の中から刺激となっている増悪因子を探し当てる努力をする必要があります。原因が続いているといつまでも薬を断ち切ることができないからです。また、埃(ほこり)や汗などの老廃物の除去と、皮膚の角質へ水分を補給する意味で入浴が大切です。そしてスキンケア用の軟膏(こう)をつけてふだんから皮膚の状態を整えます。食事制限についてですが、食物がアトピー性皮膚炎に与える影響率は約10%といわれています。この問題を考える場合、乳幼児とほかの年齢層とを分けて考える必要があります。乳幼児では、腸管が未発達で免疫系が完成されておらず、卵、牛乳などのアレルゲンの吸収を抑制できないために他の年齢に比べて食物アレルギーを起こす確率が高くなります。腸管が十分に発達した年長児以降ではあまり食物アレルギーは問題になりません。