北海道新聞メディカルガイドの連載
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〜お医者さんに聞いた、病気のあれこれ〜
今回は「前立腺(せん)ガン」についてのお話を伺いました。
ゲスト/元町泌尿器科 西村 昌宏 先生
 前立腺ガンの症状についてお聞きしたいのですが。
 

 前立腺は男性特有の臓器であり、膀胱(ぼうこう)の出口で尿道を取り巻いている組織です。前立腺(せん)ガンの症状は前立腺肥大症の症状と酷似しています。たとえば夜間、排尿のため2回以上起きてしまうとか、下腹部に不快感がある、尿が出にくい、尿が細い、残尿感があるといった症状です。正確な検査前にどちらかを判断することはとても難しく、また、肥大症にガンを併発している例も珍しくはありません。前立腺ガンは当院でも毎月数人発見されます。わが国では、近年死亡者が増加してきている病気の一つですから、先に述べたような症状がある場合は検査を受けることをおすすめします。

 検査は面倒なのでしょうか。
 
 面倒なことはありません。前立腺ガンを見つける場合は血液検査である程度わかります。直腸から前立腺を触ったり、超音波やMRI(磁気共鳴装置)などの画像診断という方法もあります。血液検査では採取した血液から前立腺特異抗原(PSA)を測定すると正常な人で4.0ng/ml以下の値であるのに対し、前立腺ガンの疑いがある人はPSA値4.0〜10.0ng/ml程度の数値を示します。このくらいのPSA値であれば前立腺肥大症であることも十分考えられますが、測定した数値が10.0ng/mlを超えてくると、前立腺ガンである可能性が高くなってきます。その場合は、さらに検査が必要となりますので、3日程度入院していただき、下半身麻酔の上、前立腺の細胞を採取して病理検査をすることになります。
 予防のために注意点は。
 
 近年、高齢者人口の増加により男子生活習慣病としての前立腺疾患に対する重要性は増すばかりです。前立腺肥大症の好発年齢とされている50歳以上の男子では、およそ5人に1人の割合で肥大症がみられるといわれています。また、80歳以上の高齢者になると、4人に1人が前立腺ガンといわれています。ただし、この場合は必ずしもガンが早く進行し、死に至るということではありません。いずれにしてもこれといった予防法のある病気ではなく、非常に発生率の高い病気ですから、50歳を越えて、排尿に気になる点が増えてきた男性は、前立腺肥大症の検査と同時に、前立腺ガンの検査を受けることをおすすめします。
 前立腺肥大症についてもお聞きしたいのですが。
 
 加齢とともに前立腺が肥大し始め、次第に尿道を圧迫し、尿の出が悪くなった状態を前立腺肥大症といいます。症状は進行によって三段階に分かれ、初期は排尿の回数が増えます。尿の放出力に勢いがなくなり、会陰部の重苦しい感じや、すっきりしない排尿に気づきます。さらには、残尿感を感じるようになります。第三期ともなれば、尿がほとんど出なくなる尿閉状態になり、苦しむこともあります。治療は基本的には手術によって、前立腺を切除したり、摘出する方法をとります。手術後は8日〜12日前後の入院を必要とします。日常生活での予防のチェックポイントは、散歩、体操など適度な運動と規則正しい生活を心がけること、入浴などで全身の血行をよくすること、水分を控えないこと、尿意があれば我慢せずにすぐ排尿する習慣をつけることなどが挙げられます。