北海道新聞メディカルガイドの連載
「いきいきゼミナール健康と医療」取材記事を中心に、
気になる健康と医療について、
専門のお医者さんが、わかりやすく解説する情報ページです。
〜お医者さんに聞いた、病気のあれこれ〜
今回は「虚血性心疾患」と「高脂血症」、「心臓性突然死」についてのお話を伺いました。
ゲスト/札幌循環器クリニック 若林 央 先生
 虚血性心疾患についてお聞きしたいのですが。
 

 心臓は、人間の握りこぶし大の筋肉の塊で、血液を全身に送り出すポンプの役目を果たしています。この心臓の筋肉に、仕事をするためのエネルギーを供給する血管が冠状動脈です。冠状動脈が狭くなって血液の流れが悪くなり、酸素不足の状態になっているのが狭心症。完全に詰まってしまい血液が流れなくなってしまうのが心筋梗塞(こうそく)です。狭心症・心筋梗塞をまとめて虚血性心疾患と呼んでいます。現在わが国の全年齢の死亡率の中で心臓病はがんに次いで第2位になっておりますが、その心臓病の主なものが虚血性心疾患です。

 虚血性心疾患を予防する方法はありますか。
 
 多数の疫学調査から虚血性心疾患になりやすい危険因子があることがわかってきました。危険因子の中には加齢や家族歴など自分ではどうすることもできないものもありますが、高血圧、高脂血症、肥満、喫煙、糖尿病、通風、ストレス、運動不足、アルコール過飲などは努力さえすれば予防でき、あるいは改善が可能な危険因子です。これらの危険因子は2つ、3つと数が多くなると心筋梗塞になる危険率は相乗的に高くなるといわれており注意が必要です。現在、虚血性質心疾患の予防のためにできる唯一の積極的な方策は、修正可能な危険因子の自己管理以外にはありません。
 高脂血症についてお聞きしたいのですが。
 
 高脂血症には高コレステロール血症と高中性脂肪血症があり、どちらも冠動脈疾患の最大の危険因子といわれています。日本では平均総コレステロール値が年々上昇しており、それに伴い虚血性心疾患の頻度も増加しています。特に閉経後の女性のコレステロール値が高い方が多く、注意が必要です。高脂血症の治療の原則は食事を中心にした生活習慣の改善にありますが、食事や運動だけでは改善されないこともあり、薬剤による治療が必要なことが多いのが現状です。高脂血症の治療目標は最終的に動脈硬化性疾患の発症を防ぐことにあります。最近日本動脈硬化学会から高脂血症の治療目標値が発表されました。総コレステロール値でみますと、一般的には220?/?未満が目標ですが、他の危険因子を持っている場合200?/?未満に、すでに虚血性心疾患を持っている時には180?/?未満にすることが必要ということです。
 高脂血症についてお聞きしたいのですが。
 
 今まで健康と思われていた人が突然亡くなってしまうなどの突然死が増えています。突然死の70%は心臓病が原因の心臓性突然死で、さらに心臓性突然死の70〜80%は心筋梗塞によるものです。健康と思っていても、それは当てにならないということですが、普通の人間ドックでは虚血性心疾患はなかなか発見しづらいものなのです。できれば心臓に焦点を当てたドック「心臓ドック」で、危険因子をチェックして、その自己管理についての生活指導を受けるとともに、心臓病の早期発見、突然死の直接死因となる危険な不整脈の発見を行い、心臓性突然死の予防に役立ててもらいたいと思います。